各地の紅葉便りが届いていますが、まだ僕は原稿の締め切りに追われ東京で居残り組です。
さて、当協会写真展が開催中の小布施町は、美しい町並みとして知られています。
また江戸時代の浮世絵画家、葛飾北斎が訪れた地でもあります。
葛飾北斎は、なんとあの時代にも関わらず90歳まで生き抜きました。
小布施町へ4回訪ねたときも、とうに80歳を越えていたそうです。
車も列車もない時代で、見事な健脚に頭が下がります。
富士山を主題にしたあの名作、富嶽三十六景。
発表当時は、72歳と晩年期に入ったときの作品。
代表作の巨大な波と舟の背景に富士を描いた作品「神奈川沖浪裏」は、波を超高速シャッターで止めたように描かれたと言われています。
肉眼ではとても確認できない速さを、すでに描いていたとは・・・
北斎の目にはシャッターが付いていたのではないかと、僕は密かに睨んでいます。
浮世絵師と写真家、職種は違っても同じアーティスト。
制作意欲が前向きでいつもバイタリティ溢れた作品を描き、そして何よりも一生現役を貫いた姿は羨ましく、少しでも近づければと思います。
小布施町には、過ごした北斎の足跡が多く残されています。
一つは、祭屋台に描かれた天井画。
美術館「北斎館」に展示されているので、じっくりご覧ください。
もう一つは、岩松院の本堂天井に描かれた巨大な鳳凰図。
21畳分の天井いっぱいに描かれ、金箔が張られた鮮やかな色彩は今もほとんど変化していません。
そんな楽しみもある小布施町へ、是非お出かけください。

こちらはお隣の高山村にある、八滝の紅葉。
例年の見頃はそろそろですが、今年はどうでしょうか。
斎藤友覧